彼女によると、俺はキリンに食べられたらしいです。


 *


その日も暑かった。


教室のクーラーが効かなくて廊下で下敷きを使いパタパタ仰いでいるとき、梨々は茶髪のケントくんに声を掛けられた。


「よっす…このクラスも効かねえのかよ」

「あっついよねー…アレ?」


いつも一緒の耀くんがいない。


ぽっかり穴が空いたようなグループに目をしばたたかせるとケントくんは苦笑い。



「耀見てねえか?」

「うんにゃ、珍しいね」

「どっか行っちまったみてえでよ。ま、見つかったら探してたって伝えといてくんね?」

「いいよー」



そう言って別れて、ふと窓に視線をやると裏庭にちらりと影。


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