彼女によると、俺はキリンに食べられたらしいです。
「おっ、橘さん」
「あー耀くんにケントくん」
しかし日を追うごとに、同時に俺のなかには何とも言えない気持ちが渦巻いていた。
「今から帰りなのか?」
聞けば「イエス!」…なんで英語なんだろうか。
「雨降りそうなんだよねー」
「梅雨入りしそうだもんな。ヤダヤダ、じめじめしちゃうわ」
ケントの女の声マネにパコンと頭を叩く。それに対して橘さんはへにゃりと笑った。
「まぁ濡れたらシャワーとでも思う」
「ポジティブやね、梨々ちゃんは」
「あたしとりえはそのくらいだからねぇ。じゃ、お二人さんまったね!」
彼女は多分、俺が生きている世界と正反対に生きている。
俺が偽りなら、彼女は本物だ。