彼女によると、俺はキリンに食べられたらしいです。

ケントもそうかもしれないが、芯から明るいヤツほど愛されて敵うヤツはいない。


俺は残念ながらホンモノにはなれない。だから―…


「よう、くん……?」

これだけは、コイツだけには見られるわけにはいかなかったのに。


いつも明るく振る舞っているけど、人間だから気疲れする時もある。人間関係が難しくなった時、俺は無性に泣きたくなる。


人目を忍んでこっそり、バレないように……そのはずだった。


「…心配すんなよ。ちょっと目にゴミが」

心配そうな目。無垢な目。お願いだから放っておいてほしい。構わないでほしい。


しかしそれでも立ち去らない。しかも俺に、追い討ちをかけるように。


「耀くん…死にたいって思ったことない?」

「!?」


耳を疑った。死にたい?死に――


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