彼女によると、俺はキリンに食べられたらしいです。


「俺は嫌われてんだから。本当は暗くて否定的だから、嫌われる」


まだ言葉を並べようとしたら、橘さんが黙った。な、なんなんだ…

しかし次の瞬間――

「バッカじゃないの!」

キッと彼女に睨み付けられた。ば、ばか?


「何怖がってんの!みんな耀くんを友達だって思ってるに決まってるでしょ」

「っ、はぁ?なんでそう思うんだよ」


思わず熱くなる。嫌だ。でも、なんでか止まらない。


「ケータイも繋がらない、メールしてもダメって。補習中もそればっか、心配してる証拠でしょ」

「いつも無理に明るくしてる俺でもか?こころから笑ってられる橘さんと、俺は違うから」

「なっ……」


口ごもった彼女につい気持ちを吐き出したくなる。今まで何を考えてきたか、とか。


「俺は、友達に嫌われんのが怖い」


< 35 / 50 >

この作品をシェア

pagetop