彼女によると、俺はキリンに食べられたらしいです。
「お前あん時から頭冷やしすぎだろうよ」

「補習来いよなァ」


口々に話しかけてくるヤツら。ぼんやりとしていたらケントが近づき、ため息をひとつ。


「俺、こんなに電話とメールして無視されたん初めてやわ」

「ケント…」


考えたような顔になったが、すぐにケントはイタズラっ子のようにニヤリ。


「かき氷、練乳入りイチゴな」

「……ふ」


ふはっと笑ってしまう。無理にじゃない、もう無理するのは、やめようと思ったから。


「ぬかりねえな」

「もち」


そう言って、肩をバンと叩かれた。今までの『無理』が抜けていくようだった。


「つかケータイどした」

「電源入れてない」

「いやん冷たい。センターパンクだぞきっと」


そんなケントにまたパコンと頭をはたいた。……少し手加減はしたけど。


< 41 / 50 >

この作品をシェア

pagetop