彼女によると、俺はキリンに食べられたらしいです。
「そろそろ花火みたいだよ?あたしなら花火見たら帰るし、平気。早く戻りなよっ」
そう言いつつ背中に回る。グイグイとTシャツを押される。
「…お前に」
その手をそっと握り、止める。当たり前だが、すこしビックリした顔をしてた。
「梨々に、言うことがあって」
ゆっくり、息を吐いた。
ちゃんと、心から、伝わるように。
なに?とばかりに見上げてくる彼女と目が合う。俺はもう、反らそうとは微塵も思わなかった。