彼女によると、俺はキリンに食べられたらしいです。
キリンに頭を噛まれた男の子って、すごくシュールだ。
ぴくりとも動かないので、もしかしなくても死んで……
「も、もしもーし」
サアアと血が引いていくのがわかる。えっちょ、死なないで!!
「あの、生きてますか!大丈夫…ではないと思いますけど、あの!」
*
「キリンが…ムニャ」
「………」
「あぁっ食べられ」
「(なんの夢を見ているのかしら)梨々、次降りるよ」
そんな繭ちゃんに起こされてハッと目を冷ました。ゆ、夢か良かった。キリンに食べられて死ぬって…あの人いやな死に方だな。
「なんの夢見てたの?寝言ひどかったけど」
「え、いやたいしたことないよ」
キリンに食べられて死んだイケメンな男の子の夢――なんてなんだかバカらしくて。
苦笑いをしながらあわててあたしはバスから降りた。