彼女によると、俺はキリンに食べられたらしいです。


ファンタってあの~炭酸ジュース?


確かに言われてみれば炭酸の気泡がシュワシュワしている。指でなめてみれば、甘い。


「うわっ!ほんとだ凄い……ね」


あれ。さっきまでいたはずなのに男の子がいな――うわっ


「っぷは!ちょ!」


あろうことか。彼はファンタのプールで溺れていた。じたばたもがく度に泡がシュワシュワと上がる。


「だ、大丈夫ですか」

「おう。なんか深いだけみてえだからな、平気だ…うわっ」


どう見たって平気ではない彼はそのままファンタのプールに沈んでいった。……今日はファンタで溺死?マヌケすぎる。


毎回のことだけれど。つくづくあの男の子は可哀想な死に方をするんだよね。



♪キーンコーンカーン…


ガバッと身を起こすと4時間目の科学は終わっていて、昼休みに入るチャイムが響いていた。


「目覚めはいかが?」とイタズラに笑う繭ちゃんに「楽しい夢だったよ、うん」


「購買行っていい?暑いからジュース買いたい」

「あ、あたしも」


ファンタだけは買いたくないなと悶々としながら渡り廊下を歩いた。


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