未来へのボール*SPRING*
「「………。」」
先輩との無言の帰り道の途中。
あたしは無意識に脚を止めた。
そこは、さっき2人の男の子が
バスケをしていた小さな広場だった。
男の子の姿はなく、
バスケットボールが1つ、
雨にうたれながら転がっていた。
あの、ボール。
まるで、あたしみたい。
「なぁ。」
……あ。先輩の存在を忘れてた。
先輩はあたしをジッと見る。
その澄んだ、漆黒の瞳で。
「何ですか?」