恋愛待機中
「ほう。恋愛とは?みたいな話?」


奏はワインを飲み干し、空のグラスを朋子に傾けて、注ぐように要求する。


「飲み過ぎなんじゃないの?」


朋子は注ぎながら、普段あまり飲まない奏を心配していた。


「酔ってないから平気。確かに恋愛とは何だろうね。」


「何でもないよ。ただ好きだから一緒にいるだけみたいな。」


「おー。さすが、彼氏持ちの朋子くんは言う事が違うね~」


奏はワインを口に運びながら、頷く。


「だってさ、理屈じゃなく単純に好きだから。が、一番シンプルじゃない?」



「そう言われると、好きになろうとして付き合って。好きだと思い込んだけど、
好きじゃなかったから別れた私の恋愛ってなんだったんだろ。」



「そもそも好きじゃないうちから付き合うな。ただ、そばに誰かいて欲しかっただけでしょ。」



「まぁね~。好きだ、好きだと言われて、なんかそれが必要とされてる感覚に陥っちゃって。」



「次は、ちゃんと好きになった人と付き合いなさい。んで、幸せになるの。
私達、幸せになるわよ。ねっ。さっ、美味しい物、食べてんだから元気だせ」



「朋子ママ、は~い」


「よしよし」



結局の所、恋愛ってなんだかわからない。





奏は気づいたら、洋服のままベッドに寝ていた。

激しい頭痛に襲われながら、起き上がると昼前だった。


今日は土曜日。


仕事が休みだ。そう思った瞬間、奏はまた寝転がる。


ゆっくり眠ろう。


再び目を閉じる。
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