ノクターン
【新】



「夏休みは会えなくなるから…。」

「ちょっと待って。」



俺は音楽室のドアを開けて、周りに人がいないか確かめてから未来のところに戻った。



「先生?」



何やってんの?みたいな顔をしてピアノに座ってる未来を抱きしめた。



「来ればいいじゃん。うちに。」



俺がそう言うと、パッと顔を上げた未来が少し顔を赤くして俺を見上げる。



「行っていいの!?」

「うん。でも誰にもバレないようにな?」



未来が俺を抱きしめ返す。



無性にキスしたい。



でもベートーベンが俺を見て語りかけてる。



線を引けと…。



わかってますよ。



今でもイケない関係だって事は百も承知。



俺は未来から離れて黒板に向かった。



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