運命を変えるため。

 その証拠に、不意の出来事にしんとなった教室を見渡し、怯む様子もなく彼女が発した言葉を聞いても、俺は驚かなかった。

「二年三組、新山明日香。一年二組、小林雄平に話があるの」

 その言葉に一気にクラスメイトの視線が俺の元に集まり、彼女、新山先輩は視線を辿るようにして、俺を見付けた。
 そして、目が合うと、朝の意味ありげな妖艶な笑みとは打って変わって、あどけない少女の様に柔らかな微笑みを浮かべ、満足そうに頷く。
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