運命を変えるため。
心から、抱き締めたいと思った。駅前の人通りの多い場所だなんて、気にして居られなかった。
ただただ、俺を想い涙を流す彼女を抱き締めたいと思った。
しかし、行動に移したのは、彼女の方が先だった。
背中に細い腕が回される。彼女の華奢な身体からは想像出来ないほどに、苦しいくらいに強く、強く抱き締められる。
温かい。俺が好きになった人は、こんなにも一生懸命で、こんなにも温かい人だったのだ。
離さない。もう、どんなことがあっても、彼女から離れることなんて考えない。
彼女の温もりは、俺にそんなことを考えさせたのだった。