運命を変えるため。
しばらくそうしていた。長くも短くも感じられた。
しかし、ふいに明日香が俺の胸から離れ、温かい風が二人の間を通り抜けた。
「恥ずかしいね」
そう言って笑う彼女の頬は、微かに上気しているようだ。
我に帰った俺も、周囲の視線を感じて顔が熱くなる。
「改めて、これ、受け取ってくれる?」
そう言って差し出した、小さな花束。明日香は嬉しそうに、それを両手で受け取った。
一頻り花束を見ていたかと思うと、それを左手に持つ。そして差し出される、小さな右手。
俺は迷わずその手を取って、歩き出した。
数歩進んだところで、明日香が口を開いた。
「で、どこに行くの?」