運命を変えるため。
一人暮らし……そう聞いて甘い妄想を抱きそうになるが、頭を振ることでそれを追いやる。
俺のそんな考えまで見透かしているかのような明日香の笑みに、視線を合わせることが出来ない。
俺の沈黙を異議なしと受け取ったようで、明日香は一層強く俺の手を引くと、自宅へと誘っていく。
久しぶりに二人並んで歩くことが、今になってとても嬉しく感じられる。
これから明日香の家で何を聞くのか、不安がないと言えば嘘になるが、それでも今は、この幸せを全身で感じたいと思っていた。
程なく、俺たちは明日香の家に着いたのであった。