運命を変えるため。
「……やっぱり」
新山先輩が小さく漏らした言葉に違和感を覚えつつも、俺は大人しく次に発される言葉を待つ。それ以外の行動を起こす理由が思い浮かばなかったからだ。
「やっぱり貴方ね。校門で待ってる」
俺に近付くこともなくそれだけ告げると、新山先輩はそのまま教室から去っていった。
クラスメイト達は始めこそ不思議そうな目を向けてきたが、教室は徐々に喧騒を取り戻していった。
「えっと……知り合い?」
そんな当たり前に気になるであろう疑問を投げ掛けて来たのは、今まで一緒に話していた赤石だった。