運命を変えるため。
そこまで話し、明日香は一度口をつぐむ。それを確認して、俺は一つだけ質問をした。
「明日香は、どうして人生をやり直しているんだ?」
この疑問に、明日香が答えられるのかどうかはわからなかった。彼女自身が望んでやり直すことになったわけではないのかも知れない。
それでも明日香は、それに答えようとした。しかし、言い淀む。必死に言葉を探しているようだ。
俺は、そんな彼女の言葉を待つ。邪魔はしたくなかった。今はただ、待つことしか出来ないのだ。
「ゆうちゃんにもう一度会うため」
俯き加減に静かにそう言った後、顔を上げて俺を見据え、今度ははっきり、堂々と言葉を発した。
「私とゆうちゃんの、運命を変えるため」