運命を変えるため。

 疑問符のつく言葉を発したかと思うと、彼女はそのまま自身の携帯を食い入るように見つめていた。

 なかなか視線を上げないどころか、口も開かず、ただ真剣な眼差しで携帯を見つめ続ける明日香。
 その様子に一抹の不安を感じる。

 次に顔を上げたとき、俺の目に写ったのは、溢れんばかりの涙を溜めた、彼女の瞳。
 駅前で再会したときに見たそれとは、まるで別の由縁によるものだということは、彼女の表情を見ると明らかだった。
< 123 / 139 >

この作品をシェア

pagetop