運命を変えるため。
そう言ったかと思うと、再び腕に力が入る。所詮女性の力なので、苦しく感じるほどではないが、彼女が精一杯の力で俺を抱き締めていることが想像できた。
彼女の髪が、俺の頬をこそばし、くすぐったさを感じる。
そこからはシャンプーの香りなのだろうか、部屋に入ってきたときと同じ、心地よい甘い匂いがした。
ふいに、目の端に写ったもの。それは、床に落とされ、開かれたままになっている明日香の携帯。
そこに写っているのは、恐らく携帯で撮られたのであろう、写真。
その写真に写されている状況には、見覚えがあった。