運命を変えるため。

 脳裏で容易く再生される声、映像。それはその記憶がさほど遠い過去のものではないことを物語る。

 大葉と佐藤が付き合い始めた日、カラオケ。赤石からの告白、そして――。

「明日香っ! 違う……!」

 慌てて弁明しようとする俺の声は、極めて冷静で、言葉を紡ぐことを憚られるような声で遮られる。

「黙って」

 短く発されたその言葉に、返事すら口に出来ない。
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