運命を変えるため。

 明日香から鼻をすする音が消えてから数分。
 漸く解放された俺は、彼女と向かい合って座っている。

 指示されたわけでもないのに、正座の俺。そして、何故かつられるように、明日香まで正座。

 明日香の様子を見て、釈明の言葉を待っていると解釈した俺は、口を開いた。

「友達とカラオケに行ってて、そこで赤石に告白されて……キスされた」

 俺の言葉に、静かにうん、うんと耳を傾ける。

「浮気とかじゃなくて……ちゃんと断ったし、無理矢理」

 そこまで言うと、明日香はそれに重ねるように口を開く。

「知ってる」
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