運命を変えるため。
明日を見る彼女の、隠し事。

「明日香は泣き虫だから、俺が涙から守ってあげる」

 そんな歯の浮くような台詞を口にする俺。明日香は目を細めて、嬉しそうに笑う。

「じゃあ、私はゆうちゃんを、運命から守ってあげるよ」

 俺の癖のかかった髪に、小さな手で触れながら、そう答える。

 そんな笑顔の明日香が、暗闇に呑まれていく。
 俺の目に鮮明に写っていた彼女が、少しずつ、少しずつ、遠ざかっていく。

「私が、守ってあげるからね」

 繰り返し聞こえるその声もまた、少しずつ遠くなっていった。
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