運命を変えるため。

 しばらく三人での学習時間が続き、図書室の閉館時間になる。
 参考書や問題集を鞄に片付け、三人揃って図書室を後にした。

 学校を出たところで、大葉が唐突に明日香に質問を発した。

「明日香先輩、何か悩み事があるんじゃないですか?」

 そんな問いに、俺は思わず明日香を見る。
 一瞬見せる、驚愕の表情。それは暗に、大葉の言葉を肯定するものだ。

 しかし、明日香が口にしたのは、否定の言葉。

「ううん、特にないよ。どうして?」

 その笑顔からは、既に驚いた表情はすっかり消えていた。
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