運命を変えるため。
そして何より、彼女の見せる屈託のない笑顔は、俺の心を一番最初に捕えた、完全なる武器と言える。
あの笑顔を最初に目の当たりにしたときから、どこかで明日香に憧れる気持ちを抱き始めていたのかもしれない。
とは言え……出会ってその日の内に交際を始めるというのは、極めて珍しいだろう。少なくとも、俺の周りにはあまりそういった軽い人間はいないわけで。
翌日心配そうな顔で声を掛けてきた赤石に、明日香と付き合うことになったと告げた瞬間から、事の顛末を質問攻めされる羽目になったのは仕方のないことだろうと思える。