運命を変えるため。

「俺達って、本当に初対面?」

 一瞬驚きの表情とともにまばたきをした明日香は、すぐにいつもの笑顔に戻った。

「何言ってるの、昨日会ったばかりだよ。それより、次の曲……」

「誤魔化すなよ!」

 明日香が慌てて取り繕うようにして発した言葉を遮った俺の声は、自身で想像していたより遥かに大きなものだった。

 明日香の今にも泣き出しそうな表情を見て、すぐに後悔が押し寄せてきたが、俺はそれ以上何かを言うことは出来なかった。
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