運命を変えるため。

 彼女の雰囲気に気圧されて、目を逸らせずに居ると、不意に彼女はこちらに笑い掛けたかと思うと、ポニーテールを翻して、俺が向かうのとは逆方向へ歩き去ってしまった。
 暫くその場から動けずに考えていたのは、「小説や漫画なら、俺はこの後、あの人と再会するのかな」等と言う、お気楽なものであった。

 しかし、強ちそれは間違いでもなく、大した時間を置かずに俺たちは再会する。
 何はともあれ、間違いなくこれが俺と彼女の、ファーストコンタクトだった。
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