運命を変えるため。
花の咲いたような眩しい笑顔は、俺に向けられるものとは少し違い、明日香のまだ見ぬ一面を垣間見たようで、嬉しくも寂しいような、複雑な気持ちを感じた。
程なくして一限の開始を知らせるチャイムが鳴り、俺の感情なんて知る由もない教師が授業を始める。
黒板に書き上げられる文字を丁寧にノートに写し取りながらも、俺の意識は完全にグラウンドに向けられていた。
自分がこれほどまでに明日香に惹かれているという事実に気付いたのは、一限が終わり、視界に明日香を捉えることが出来なくなって、意識が完全に教室へ戻ってきてからだった。