運命を変えるため。

「ごめん、変なこと言ったね」

 俺が余程暗い顔をしていたのか、赤石は先程より一層神妙そうな表情を深めていた。
 考えを巡らせている内にいつの間にか佐藤が歌い終わり、マイクは大葉の手に移っていたようだ。

 俺は無理に作った笑顔で首を横に振って見せ、気にしていない様を演じた。

 申し訳なさそうな表情を露にしているところから、俺の演技は完全に見破られていただろうが、彼女はそれ以上何かを言おうとはしなかった。
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