運命を変えるため。

 あまり長居しすぎるのも悪いかと思い、俺は荷物を持って席を立つとレジの奥に向かって声を掛けた。
 お礼を言い、明日の出勤時間を確認した後、俺は店を出た。

 軽く伸びをしながら、入店前に緊張しながら見た、店の看板に目をやる。

 茶丞―SASUKE―

 明日からここが、俺のアルバイト先になる。時給はそれほど高いわけではないが、社会経験の第一歩としては十分すぎるくらいだ。

 それに……明日香もきっと、この店を気に入ってくれるだろう。

 ここに明日香を連れて来て、満面の笑顔を見せてくれる彼女を想像すると、自然と笑みがこぼれた。
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