運命を変えるため。

 人のために何かをするというのが、こんなに気持ちの良いものだとは知らなかった。
 今までは与えられる側でぬくぬくと育ってきた自分にとっては、このことに気が付けただけでも、大きな成長に感じられた。

 午後もそこそこ忙しく時間は過ぎ、無事アルバイト初日を終えた。
 明日は月曜日なので、お店は休みだ。
 店長と奥さんに挨拶をして店を出ると、俺は大きく伸びをする。

 温かな風に吹かれ、心地よい倦怠感を感じる。中学生のときに部活で長距離のマラソンを走り終えたときのような……懐かしい感覚だった。
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