運命を変えるため。

「私なんて失恋したばっかりなんだから、気を遣えーっ」

 赤石のそんな言葉も、本心から言っているようには聞こえず、二人の関係の進展を喜んでいるようだった。

 って……え? あまりにもさらっと発言したので、俄にはその言葉を理解しきれなかった。
 大葉や佐藤が自然に会話を続けているところをみると、俺が部屋に戻ってくるまでの数分間に、報告を済ましたようだ。

 気まずさを感じたのは俺だけだったようで、三人は笑いながら俺を巻き込んで盛り上がる。
 友達というものが、こんなに温かいものだったのかと感じた瞬間だった。
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