ヘヴィノベル
 どういうわけか担任の乗ったバンはそのままUターンして戻って行った。その女、雨合羽で全身隠れていてどんな人か分からなかったが、俺たちの方に歩いてきてそしてこう言った。
「さあ、ブルーレイディスクを渡して」
 俺は地面を蹴って側にいる二人の奴の腰にまとめて飛びつき、両腕で奴らの体に巻きついて動きを止めようとした。そして後ろにいる前島に叫んだ。
「前島、ここは俺が食い止める!行け!逃げるんだ、お前だけでもゼンカクレンの本部へ」
 なぜか俺が巻き付いている二人、こいつらは感触からして男だ、その二人は抵抗らしい動きは何もしなかった。女の方は雨合羽のフードを上に上げて顔を見せた。それはやはり若い女だった。というより俺たちより少し年上のおねえさんて感じだ。まさか高校生か?
 彼女は俺の必死の形相を見て思わずくすりと笑い、そして俺たちにこう言った。
「だから君たちはもう到着しているのよ」
「え?」
 思わず力がゆるんだところで、男二人が俺の腕をゆっくり引きはがしながら言った。
「はは、最近の中学生は元気がいいな」
「君、落ち着け。ここが全革連本部のある場所だ」
 こちらも高校生ぐらいの若い声だった。二人は俺から離れて、地面にへたり込んでいる前島を助け起こして俺の所へ連れて来た。あの女の方が俺たちに言った。
「ようこそ、全革連本部へ。園田先生という方から話は聞いているわ。私は上条麗奈、全革連の今の委員長よ」
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