ヘヴィノベル
話が話だからその場じゃまずい。俺たちは校庭の隅にある、石のテーブルと長椅子がある木陰に移り、そこで俺と前島が経験した事の大まかな部分を話した。彼らは歓声を上げてまた口々に俺と前島に言った。
「すげえ、俺にもそのゼンカクレンの人たち紹介してくれないか?」
「じゃあ、文学が18禁じゃなくなるのか?」
「そうなんだろうな。もっとも俺には関係ないけど、どっちみち」
「あはは、逆にライトノベルが有害図書になったりして」
え?
俺は何かが違う、何かが変だ、そんな感覚に襲われた。頭の悪い俺にはうまく説明できないけど、何かが違うんじゃないか?クラスメートたちの他愛のない会話は弾み続ける。
「でもどうして?ライトノベルこそが正しい文芸のあり方なんでしょ?」
「いや、だから、それは日教連のセンコーたちが決めたルールだからだろ?これからは、その全革連が正義になるんだからさ」
いや、待て、違う!そうじゃない!それじゃあれと同じだ。上条さんが言ってた、なんだっけ、そうだ、右のファシズムから左のファシズムになっただけ。それと同じじゃないか?
今の日教連と全革連の立場が正反対になるだけで、結局今と同じ事になっちまうんじゃないのか、それは?俺はすがるような気分ですぐ横にいる前島の顔を見た。前島はにこにこ笑っていたが、明らかにその眼には怯えたような光があった。そうか、前島も同じ感じがしているんだな。俺の頭の中に、以前園田先生が言った言葉が、この上もなくくっきりとリプレイされた。
この世の中、何が正しくて何が間違いなのか、何が正義で何が悪なのか。その定義が180度逆転してしまっている事なんていくらでもあるのよ。
クラスメートたちのおしゃべりは続く。
「ええ?じゃあ、アニメとかはどうなるの?」
「少なくとも東京ではもう見れなくなるんじゃねえ。その条例とかって今でもあるんだろ?」
「やだ。じゃあ、保険の授業で見るヨスガノウミは?あたし、あれ好きなのに」
「あれこそ18禁だろ。あれエロじゃん」
「なんでよ?親を失くした兄と妹の美しい家族愛とそれを見守る心優しい少女たちとの友情物語でしょ?」
「だから、それは日教連が決めた正義なんだよ。これからの正義は全革連が決める世の中になるんだよ。な、松陰、そうなんだろ?」
「すげえ、俺にもそのゼンカクレンの人たち紹介してくれないか?」
「じゃあ、文学が18禁じゃなくなるのか?」
「そうなんだろうな。もっとも俺には関係ないけど、どっちみち」
「あはは、逆にライトノベルが有害図書になったりして」
え?
俺は何かが違う、何かが変だ、そんな感覚に襲われた。頭の悪い俺にはうまく説明できないけど、何かが違うんじゃないか?クラスメートたちの他愛のない会話は弾み続ける。
「でもどうして?ライトノベルこそが正しい文芸のあり方なんでしょ?」
「いや、だから、それは日教連のセンコーたちが決めたルールだからだろ?これからは、その全革連が正義になるんだからさ」
いや、待て、違う!そうじゃない!それじゃあれと同じだ。上条さんが言ってた、なんだっけ、そうだ、右のファシズムから左のファシズムになっただけ。それと同じじゃないか?
今の日教連と全革連の立場が正反対になるだけで、結局今と同じ事になっちまうんじゃないのか、それは?俺はすがるような気分ですぐ横にいる前島の顔を見た。前島はにこにこ笑っていたが、明らかにその眼には怯えたような光があった。そうか、前島も同じ感じがしているんだな。俺の頭の中に、以前園田先生が言った言葉が、この上もなくくっきりとリプレイされた。
この世の中、何が正しくて何が間違いなのか、何が正義で何が悪なのか。その定義が180度逆転してしまっている事なんていくらでもあるのよ。
クラスメートたちのおしゃべりは続く。
「ええ?じゃあ、アニメとかはどうなるの?」
「少なくとも東京ではもう見れなくなるんじゃねえ。その条例とかって今でもあるんだろ?」
「やだ。じゃあ、保険の授業で見るヨスガノウミは?あたし、あれ好きなのに」
「あれこそ18禁だろ。あれエロじゃん」
「なんでよ?親を失くした兄と妹の美しい家族愛とそれを見守る心優しい少女たちとの友情物語でしょ?」
「だから、それは日教連が決めた正義なんだよ。これからの正義は全革連が決める世の中になるんだよ。な、松陰、そうなんだろ?」