放課後の視聴覚室は密の味


僕を見据える奈菜の顔には期待が貼り付いている。


僕はそんな奈菜の態度に観念して

「悪い?」と、開き直る。


奈菜は満面の笑みを見せて、首を横に振ると、

「悪くないよ…嬉しい」

と、僕の腕に自分の腕を絡めた。


その反応に少し頬が緩む僕。

僕はそれを奈菜に悟られないように、奈菜の頭を撫でる。


奈菜は満足げに、無邪気な笑顔で僕を見上げると

「秀って、そんなヤキモチ妬きだったっけ?」

と、イタズラに僕に聞いた。
< 7 / 18 >

この作品をシェア

pagetop