放課後の視聴覚室は密の味
僕を見据える奈菜の顔には期待が貼り付いている。
僕はそんな奈菜の態度に観念して
「悪い?」と、開き直る。
奈菜は満面の笑みを見せて、首を横に振ると、
「悪くないよ…嬉しい」
と、僕の腕に自分の腕を絡めた。
その反応に少し頬が緩む僕。
僕はそれを奈菜に悟られないように、奈菜の頭を撫でる。
奈菜は満足げに、無邪気な笑顔で僕を見上げると
「秀って、そんなヤキモチ妬きだったっけ?」
と、イタズラに僕に聞いた。