私だけ見てて。お願い。
特別教室2はほとんど使われていない狭い部屋。物置みたいになっている。

「ごめん、こんなところしかなくて。」

「いやいや、全然。質問できれば構いません。」
むしろ、私は嬉しい。だってこんな狭い部屋に2人きりだよ??
ちょっとだけ心拍数があがる。

先生は、2人の前にある机の上のたくさんの資料を別の机に移した。

「でっ、どこがわからないんだ??」

「ここがわかんない!」

どうせ2人しかいないと思って、私は電話口で話したようにタメ口で話してみることにした。なんかいつもより親近感がわく。

「あ~。ここかあ。けっこうムズイもんなあ。」

「でしょでしょ。」

「ここは証明問題だからこうやって・・・・」

「なるほど。せんせ、分かり易い!」

「だろ??」

もしほんとに分からなくて質問しに行っていたとしたら、ぜったいわからないと思った。だって先生、顔近すぎるんだもん。しかも、私のシャーペンを何気に使ってくるし。もっと日ごろから使ってるシャーペンを渡せばよかったと後悔した。


こんな感じで1時間が過ぎ、下校時刻になってしまった。

「今日はありがとう。すごく分かり易かったっ♪」

「またいつでもおいでな。ぼちぼち頑張り~やっ。」

「ありがとう!」

こうして質問タイムは終わった。今日は独り占めできた~♪と七海に自慢して家に帰った。

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