ルチア―願いを叶える者
やっと見つけた。
私が必要とされる理由。
私の生きる意味…
私の命が消えてしまったとしても、私は後悔なんかしないんだろうな…
私にしか出来ない事を果たせたのなら…
私の命にも意味があったのだと思えるから…
「必ず、その役目、果たして参ります」
シェスは頭を下げ踵を返す。そして、私に手を差し延べた。
「花音」
「…シェス……?」
差し延べられた手に自分の手を重ねる。
いきなりどうしたんだろう…?
「アル」
「…王子…?」
シェスはアルにも手を差し延べる。それにアルは戸惑いながらも手を重ねた。
「今この時より、俺達の命、体は共有された。たとえ、何があろうと俺達は三人で一つだ。誰が欠ける事も許さない。必ず生きて帰るぞ」
「…シェス……」
「全く…あなたらしい…」
アルはフッと笑った。
私…も……?
私の命も、欠けてはいけない、そう言ってくれるの…?
「長い旅になるぞ、これからよろしくな」
「何を今さら。主について行くのは当然です。そして、今日からその主は花音、あなたもです」
「私……?」
「あなた、誓いを聞いていなかったんですか?俺はあなたも守ると誓ったんですよ。誓ったからには、あなたを必ず守ります。死なせはしない」
死なせはしない…なんて…
どうして…二人とも…
私に優しい言葉ばかりくれるの…
私…こんなに生きている事が幸せと感じたのは初めてだよ…
二人の言葉、笑顔にどれだけ私が救われたか二人は知らないだろう。
あなた達が私を守るというのなら、私も守る。
大切なあなた達が私の思いを迷いのないものにしてくれる。
「…私達なら、やり遂げられるよ」
今、私が強くいられるのは守りたいものがあるから。
そのために捧げる命なら、少しは価値があるのかな…
「さぁ、出立だ!!」
シェスに続いて私とアルも続く。
私の前には導べのように道を突き進むシェス。
私の後ろには、見守るように、見えない部分を補い、守るアルがいる。
私はその間。
二人に守られたこの場所が、いつのまにか定位置になってた。
大丈夫…
二人がいるんだもん…
ちゃんと、頑張るんだ。
ルカ…見ていて…
私は、後悔しない、ルチアの力が、幸せに繋がるって証明してみせるよ…