ルチア―願いを叶える者
時の停止
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ルアーネ国を出てから一週間。私達は馬を走らせ、レビアス広原を翔けていた。
私はアルの前に乗ってる。なんでも、護衛対象が一頭の馬に集まっていたら、対象が狙われやすいからだとか…
「…レビアス広原を抜ければ、ビラー国に着きますよ」
「ビラーか…。あそこは美しい装飾を作る優秀な芸術家が溢れる国だな」
「えぇ、ビラーに芸術家を目指して学びに行く人も少なくないですからね」
ビラー…
芸術の国、か…
なんかすごいな…
異世界だから、私がいた世界とは全く違うものだと思ってたけど…
芸術家とか、学問を学ぶために留学する人がいるのは、私の国も一緒だ。
「二人は、ビラーに行った事はあるの?」
「ビラーには視察程度だな。つっても、もう何年も前だがな」
「ルアーネの水源問題が難航していたので、視察どころじゃなかったんですよ」
なるほど…
じゃあ二人とも、ビラーに行くのは久しぶりなんだ。
ビラー…
どんな国なんだろう。
「ビラーまで、災厄が降りかかってなければいいが…」
「シェス…」
暗い顔…
ルアーネの災厄を思い出してるのかな…
「それを俺達が何とかするんでしょう?今から弱気でどうするんです?」
「そ、そうだよ!!私達が何とかすれば万事解決だよ!!」
「おぉ、そうだな」
こうやって助け合えばいい。弱気になってしまっても、私達は仲間だから…