ルチア―願いを叶える者


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「…あ……………」


我に返ると、燃え盛る火が見えた。


―ザァアアア…


さっきよりも弱まっている雨音が聞こえる。


私…どうしたんだろう…


「起きたのか?」

「あ…シェス……」


いつのまにか横になっていた私の頭を、シェスが撫でる。


私、眠ってたみたいだ。
いつ眠ったんだろう?


頭が痛くなって…
声が聞こえて……


…それで………??


「急に苦しみだしたんだ。今は平気か?」

「え、うん…。どこも痛くないよ」


自分でも、どうしてあんなに頭が痛かったのか不思議。


ただ、何か、大切なものを忘れてしまっている気がしたんだ…


あの声は女の人だった。
良く知る人…


大切だった…人……?


―ズキンッ

「んっ…」

「花音!?」


シェスが心配そうに私の顔をのぞき込む。


「なんだろう…何かを思い出したいんだけど、思い出そうとすると……頭が痛い…」


なんで…?
私、事故に会ったわけじゃない。
病気にだってほとんどならない健康体だったのに…


「記憶を喪失している可能性はありませんか?」

「え……?」


外へ出ていたのか、アルの髪がびっしょりと濡れている。


「アル、戻ったか」

「はい、馬は平気でしたよ」


馬……
あぁ、テラの様子を見に行ってたんだ。


「花音、以前記憶を失った事は?」

「ないよ、私健康だけが取り柄だったし…」

「だったら何が原因なんだ…?」


うーん………
なんだろう………


私、本当に何かを忘れてるのかな?


今になると、それすらも怪しい。


「私が疲れてただけかもしれないし…」


あの声も、幻聴なのかも…
きっとそうだ。



「一度、医者に見せた方が良いだろうな」

「ええ、ビラーについたらすぐに医者に見せましょう」

「え、別に平気だよ!!」


今は何ともないし。


「平気というお前は信用出来ないからな。現に、お前は力を使った事も黙ってただろ?」

「うっ…」

「それに、ばれなければ私にも言わないつもりだったでしょう?」

「そ、それは……」


い、痛い所をついてくるな、この二人……










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