ルチア―願いを叶える者
―異世界ベレスレリア
「なんだアレは」
ルアーネ国第一王子、シェス・ルアーネ王子が空を見上げ目を細める。
王子の証、深青の短髪とそろいの瞳、端整な顔立ちで、見る者を惹く美しさをもっている。
19という若さで国民を認めさせた実力者だ。
「星……ですか…?」
王子の側近、アルレイナ・スペロは同じ光を見て、そう呟く。
アルレイナ・スペロ、今年で20となる側近の騎士。
騎士団で随一とさえいわれ、ルアーネの神盾(アード)とさえ謳われる。
さらさらとした紫の長髪を後ろで結い、切れ長の瞳で色白。王子に劣らなく美しい青年だ。
まるで星のように輝く光が東の空へと堕ちていく。
本当に星が落ちたのでしょうか。
「アル、行くぞ」
「いえ、王子はここに。まだ調査の途中でしょう。俺が一人で行きます」
「嫌だ、なんか面白そうだから俺も行く」
「王子…しばきますよ?」
「………………………」
王子を黒い笑顔で黙らせ、
「失礼いたします」
アルレイナは馬を走らせた。