ルチア―願いを叶える者


「父上も、俺達の訪問に関した書簡を各国に送ったが、返事が来た書簡は少ない。ビラーもその一つだ」


返事が返ってこない……
嫌な予感がする。


ビラーでも、何かあったんじゃ…


「仕方ないですね、先へ進みましょう。ここで立ち往生していても、仕方ありませんから」

「だがな、許可無く多国へ侵入すれば、俺達全員殺されるぞ」

「こ、ころっ…!!?」


殺されるってなんで!?
私の世界では、旅行だなんだと多国へ行くのは自由だったのに…


「その時は…そうですね。我等が国王の書簡に返信をしなかった事への礼儀と、国境に兵がいない、このおかしな状態を心配して中へ入った俺達の善意ある行動に対して、逆に訴えてやります」


「……………」

「お前…。最近、いろんなものを飛び越えて尊敬すらしてきたぞ…



はは………
なんか、アルならそんな無茶苦茶な言い訳でも納得させられそうだよ…



「さ、行きましょう。日が暮れます」

「そ、そうだね」

「お、おう!」


私達はぞろぞろとビラーの領地へと進んだ。










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