ルチア―願いを叶える者
「信じられないな…」
「これは…一体なにがあったんでしょう…」
町に入った途端、視界に広がったのは石になった町の人間達だった。
「…鳥も……」
空を飛んだまま石になっている。
風に靡く洗濯物、舞う木の葉もそのまま。
「…時の停止……」
思わずそう声に出していた。
「時の停止…ですか?」
「確かに、人や物というより、この国に流れる時間そのものが止まってしまったように思えるな」
「その…通りです…」
私達が離していると、アルが抱えていたメル様がそう口を挟んだ。
「メル様!!!」
「花音…無事そうで…」
メル様は優しく笑いかけてくれた。
メル様…
よかった、目が覚めて…