ルチア―願いを叶える者


「なら帝国ガルディアだな」

「うん、僕も西の方角に妹の魂を感じる」


双子ならではだからだろうか、僕とルリには深い絆のようなものがあった。


「なら帝国ガルディアを攻めるぞ」

「攻めるって、簡単に決めていいのかい?」


その提案に少し驚く。


シェアは本当に即行動なのだ。


「簡単に、じゃないさ。帝国ガルディアとはそのうち戦争をしなければならないと思っていた。それが今になっただけだ」

「…シェア……。すまない、僕のせいだな…」

「馬鹿野郎、俺が決めた事だ。お前が謝る必要なんかない。このシェア・ルアーネ、親友の願いならなんだって叶えるぞ」


…シェア……



願いを叶える力を授かったのは僕なのに…


君は僕の願いを叶えようとしてくれる。


本当に君は………
王に相応しい……


「ありがとう、シェア。僕は君の願いは何でも叶えるよ。君の願いは、多くの人間を救うから…」


その為になら、君に僕の命を差し出したって構わない。


「世界を救う為とはいえ、お前に力を使わせるのは胸が痛い…」

「大丈夫だよ、減るもんじゃないだ。君は願えばいい」

「…あぁ…。なぁ、本当にお前の体に害はないんだな?」


あぁ…また……
シェアは何度尋ねる気なんだろう…


「大丈夫だよ、君は何も心配しなくても…」

「…お前を信じるぞ、ルカ」


真剣な顔をするシェアに、僕はごまかすように笑った。


僕の命が消えるまで、僕の力は君の為に…


異世界の優しい王である、シェア・ルアーネに我が身を捧ぐ…








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