ルチア―願いを叶える者
『かみさま、どっかいたい?』
『ふふっ…本当に美しくて優しい心の持ち主…』
その人が優しく抱きしめてくれた。
温かい、懐かしい…
同時に、何故か悲しかった。
『どうか、あなたはその心を悪魔に売ってはだめよ…』
『?』
『同じ…あなたは兄さんと同じ魂を持っている…』
兄さんと…同じ魂…?
―ドクンッ
なんだろう…
胸がざわざわする…
『私はあなたの魂が好きよ…』
その人は泣いていたような気がする。
胸が苦しい…
『私の心が、消えてしまっても…』
もう会えない…
そんな気がした。
『最後にあなたを愛せて良かった。たとえ、夢であったとしても……』
行かないで…
もっと傍にいて…
ずっともらえなかった…
誰にももらえなかった、愛情をくれた人…
母親のような人……
『さよなら…私の大切な人…。どうか、私の事は忘れて…幸せに…』
―パアアアアッ
光が瞬く。
そしてこの瞬間、私は何か大切なモノを失ってしまった。
そう、大切なその人との愛しい時間の記憶を…