ルチア―願いを叶える者
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「おいおい、こんな川の下流まで来て何があるってんだラウ」
ラウは川の下流あたりで空中をくるくると回り飛んでいる。
「キュゥーイッ!!」
「だから、ここに何が…あっ!?」
そこには川岸に横たわる女がいた。
「人間がなんたってこんなところに…」
女に駆け寄り、息をのんだ。
「な…んだ……?」
桃色の髪…?
このベレスレリア中どこ探したってこんな髪色の女見た事ねぇ……
「まさか、こいつがルチアか?」
こんな髪してんだ、ルチアだとか間違えられるのも頷ける。
「おい、しっかりしろ」
川から女の体を引きずり出し、息を確かめる。
…息はあるみたいだな…
「体が冷たい。すぐにでも医者に見せねぇとこりゃ死ぬかもな」
女の体を抱き抱えて立ち上がる。
「…んっ………」
女が少し身じろぎをした。
「目、覚めたか?」
「………………」
…違うのか。
にしても…………
こりゃ雨が降る前に帰れる自信ねぇな。