ルチア―願いを叶える者


―ポタッ


「くそっ…降ってきやがった…」


村までの道のりを半分くらい進んだ場所で雨に降られた。


これ以上こいつを濡らすわけにはいかねぇ…


なら…


「ラウ、近くに雨を凌げる場所はあるか?」


ラウはついて来いと言わんばかりに飛ぶ。


「こっちか…」


女を出来るだけ濡らさないように上着に包み、走り出す。


「よくやったラウ」


少し森を進んだ所に洞窟があった。



そこに入り火を起こす。


「にしても…」


女に目をやると、まるで死んだように眠っている。


「大丈夫なのか…?」


こいつ、軽いし細いし顔色も悪かった。


「おいおい、まじで死ぬのか?」


顔をのぞき込むと、夢見が悪いのか、苦しそうな顔をしている。


これで死なれたら胸糞悪い。死んでくれるなよ…



女の髪に触れ、そう願った。







< 186 / 403 >

この作品をシェア

pagetop