ルチア―願いを叶える者
―ポタッ
「くそっ…降ってきやがった…」
村までの道のりを半分くらい進んだ場所で雨に降られた。
これ以上こいつを濡らすわけにはいかねぇ…
なら…
「ラウ、近くに雨を凌げる場所はあるか?」
ラウはついて来いと言わんばかりに飛ぶ。
「こっちか…」
女を出来るだけ濡らさないように上着に包み、走り出す。
「よくやったラウ」
少し森を進んだ所に洞窟があった。
そこに入り火を起こす。
「にしても…」
女に目をやると、まるで死んだように眠っている。
「大丈夫なのか…?」
こいつ、軽いし細いし顔色も悪かった。
「おいおい、まじで死ぬのか?」
顔をのぞき込むと、夢見が悪いのか、苦しそうな顔をしている。
これで死なれたら胸糞悪い。死んでくれるなよ…
女の髪に触れ、そう願った。