ルチア―願いを叶える者


「グギャギャギャーッ!!」

「魔物だ!!!シオン、メリラおばさん連れて逃げるぞ!!!」

「わかった!!俺はメリラおばさんを」


シオンが部屋を飛び出す。


「立てるか!?花音!!」

「うっ……」


魔物が来る…
ルリは私を………


「仕方ねぇ…」


―フワッ


「…ロイ………」

「少しだけ我慢してろ」



ロイは私を抱えて窓から飛び降りる。


「シオンと…メリラおばさん…は…?」

「大丈夫だ。地下に逃げただろうからな。俺達も向かってる」


ルリは……私を狙ってる。だったら……


「駄目……」

「あ!?」

「狙いは私…だから…。離れ…て…」


出来るだけ遠くへ…



「お前…チッ……」


ロイが方向転換する。


「グギャギャギャーッ!!」

―ドカーンッ!!!


すぐ近くで爆発が起こる。


「ロイ…」

「大丈夫っ…だ…」


あぁ……
視界が霞む…


本当にどうなっちゃったんだろう…


早く…力を使わなきゃ…


「とりあえずはここに隠れるぞ」


建物の影に隠れロイは私を地面へと下ろす。


「大丈夫か、しっかりしろ」

「…ロイ…。隠しててごめん…私……」


「ルチア…なんだな…」


私は頷く。


「今…世界は…100年前のルチアによって…壊れようとして…るの…」

「100年前のルチア?生きてやがんのか?」

「わから…ない…。でも…存在して…る…。この村も…その犠牲……」


ずっと秘密にはしておけない。


もう…巻き込んでしまってる。私のせいだ…












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