ルチア―願いを叶える者


『…花音………』


目の前にいたのはルカだった。


「嘘…ルカ…どうして…。私、ずっとあなたを探してたんだよ…?」


信じられない…
またルカに会えるなんて…



『花音、僕はもう死んでるんだ…』

「……え…………?」


死んでる…って……


「嘘…だよね……?」

『…君自身、気づいてるはずだよ…花音』


私自身…?
何それ、どういう事…?


『僕は死んでいて、その生まれ変わりが君なんだ…』

「……そんな……」


そんな事ない…
そう言いたいのに言えない。


私……
どこかで気付いていたのかもしれない。


私の魂が、ルカの魂だって…



『僕の魂が100年の時を経て生まれ変わり、君が生まれた。僕と君は二人で一人なんだ』

「…ルカ………」


100年……
近くにいたと思っていたルカと私の間には、そんな果てしない時の溝があったんだ…


ずっと…ずっとあなたを探してたけど…



「ルカは…この世界のどこにもいなかったんだね…」


あぁ…悲しい……
涙が溢れて止まらない。


ずっと…どこかで生きてるって思ってた…


この世界のどこかにいるって…



『過去に君が迷いこんだ時、君と出会ったよね。その時、僕は希望を見つけた。君という存在が、僕の希望だった』

「私が…希望……?」


そうだ……
初めて夢で出会った時もルカは私を唯一の希望だって言ってた。


「でも…私は…力を使ってた…」


ルカの願いを叶えられなかったのに…


『確かに、花音は力を使った。でも、君はその選択を後悔しなかった。君自身が望んで救う事を選んだ』

「うん。私、後悔なんかしてない…」


皆を守りたい。
この世界に生きる大切な人達が幸せになれるように…


その世界を救いたい。



「この思いは変わらないよ…」

『僕は、そんな花音なら、ルチアの悲しみの連鎖を止められるんじゃないか…そう思うんだ…』

「私…が………」



私が…ルチアの悲しみを…










< 212 / 403 >

この作品をシェア

pagetop