ルチア―願いを叶える者
『何より、僕の魂を受け継いだ君だから核心があった』
私とルカ……
二人で一人であったからこそ、ルカは核心してたのかもしれない。
私もルカと同じだから…
『願いには強欲、有り余る力を望むものと、慈悲、誰かの救いとなるものの二つがある。君の願いは後者だ』
私の願い……
それが誰かの救いになる…という事…?
『そうだよ。そして、それは君が幸せになる為の願いでもある。君の幸せは、誰かの幸せを守る事で生まれるから…』
私の幸せ……
私の満たされるものをルカは知ってるんだね…
『君のその無垢な願いは、きっと沢山の人間の救いとなって、君自身の幸せにも繋がると信じているよ…』
「でも、私はあなたの幸せも願ってる。だから…」
ルカが消えてしまったら、私は……
『僕が…最後に願ったのは…』
「え……?」
『君を守る存在になる事だった』
私を守る事……
それが最後の願いなんて…
『君と同じ。君という誰かの幸せが、僕の幸せだったんだ。それが叶うんだから僕は幸せだった…』
「あ……」
ルカが泣いてる…
『…僕の大切な花音…。たとえ、傍にいる事は叶わなくとも…』
ルカが優しく私を抱きしめる。
なんて温かいんだろ…
『君の中で共に生きるから…』
「ルカ…やだよ…。だって私……」
あなたがいなくなったら…
『もう一人じゃないんだ…』
「あ………」
あの家でずっと居場所を探してた。
あの世界で私を必要としてくれる人を探してた。
『君の存在…君の居場所がちゃんとここにあるね…』
「っ…うん……」
私は笑う。
だって、ルカが笑うから…
ルカの目に最後に映るのが私の笑顔であってほしいから…
『僕の願いの元に、彼等に力を与えよ!!』
―パアアアアァッ!!!
光が瞬いた。
ルカが優しく微笑む。
『どうか…幸せに…。君の願いが…光となりますように……』
「ルカっ…あの時。もう最後だと言ったあの時、ルカが私に伝えようとした言葉を教えて…」
私が異世界へと行く前、夢でルカが言いかけた事。
ずっと聞きたかった…
『君を…愛してる…と…』
「!!!!!」
―パリンッ
光が弾ける。
まるでスローモーションしているように世界がゆっくりと動いていた気がした。
辺りに月の光だけが残った。