ルチア―願いを叶える者
「シェス王子……?」
「何しやがった…」
アルとロイがどす黒いオーラを放ちながらシェスに近付く。
「あ…待って!!違うの、違くて………」
いけない。
私が泣いたせいでシェスが…
死んじゃう!!!
「じゃあなんで泣いてんだよお前は」
ロイに頭を軽く叩かれる。
「約束…。あの二人の約束を、シェスが知っててくれた事が…嬉しかった…」
嬉しさで泣き笑いになる私を、皆は困ったように見つめる。
「嬉しいなら泣かないで笑いなさい。私はてっきり…あなたが…また何か抱え込んでるのではと…」
「え?アル、何か言った…?」
「…えぇ!言いました、言いましたとも。不細工な顔をいつまでもさらされてはこちらも迷惑です…と」
ひ、ひどい!!!
私はごしごしと涙を拭う。
「むうっ…」
「そうむくれるな、花音。お前は可愛いぞ」
「シェス〜…」
優しい!!
やっぱりシェスは大好き!!
アルなんてっ…
でも…ちょっとは好き…かも…
ううん。
すごく大好きだ。
ロイもみんなみんな大好き。私の大切な人達…