ルチア―願いを叶える者


「手紙、なんだが。実は俺が約束を引き継ぐ前から消失していてな」


あ…
代を重ねるうちにいつのまにか手紙が消えてしまってたんだ。


だから本の中なんかに…


「大丈夫、あれならルチアの本の中に…」

「あぁ、知ってたのか!実は俺がその約束を継いだのはお前が来てからだ。それからずっと探してやっと…」



シェスは鞄の中をごそごそと探る。



「お前が言う本の中に挟んであった。大方、ルチアに興味を持った先代の誰かが手紙を頼りに調べ物でもしていてそのまま忘れたんだろう」


シェスは私に手紙を渡してくれた。


「ルカ……」


―ポタッ


あぁ…
また私………泣いてる。


ルカ…
あなたはルリを救いたい一心で…


今度は私が…
夢の中で、私を育て愛してくれた二人を…


救う番だ…


「約束…こんどは私が果たすよ。シェス、ありがとう。私の大切な人の願いを叶えてくれた事、感謝します」


私は頭を下げる。
ルカがルアーネに召喚されたように、私もルアーに召喚されたのは運命だったんだ。


「おいおい、そんな頭を下げるな。礼なら顔を良く見せてくれ。俺は、お前の笑った顔に癒されるんだ」


そう言ってシェスは私の頭を撫でた。


あったかくて大きな手。
いずれ国王となる人の手だ。


この人が、この人達が生きる世界が、平和でありますように…


私は出来る事をしよう。








< 243 / 403 >

この作品をシェア

pagetop